緋色雨の法螺話。

短編小説を時々書いてます。

狂愛主義者

※途中暴力表現注意 

 

 

委員会の仕事中。

 

もうすぐ、部活動が終わりそうな時間。

 

傍に侍る様に立つ奴に声をかけ、僕は部屋を出た。

 

 

君を探しに、校内を歩く。

 

何処に居るか、なんて探すまでも無いけれど。

 

帰らずに集まっている奴らを見かけた。

 

誰かに暴力を振るって楽しんでいるようだ。

 

近寄ると、さらにはっきり見える現状。

 

服や体を切り裂かれていて、

 

腕には少し焦げた痕、

 

殴られ、蹴られた痕も見えた。

 

…全く、

 

「もう一般生徒帰宅時間過ぎたんだけど?」

 

一斉に振り向く、そして青ざめる。

 

校内でやってて気付かれると思わないんだね。

 

「ふっ…風紀委員長…?」

 

「僕は自分の役職ぐらい知ってるけど?」

 

情けない声は情けない悲鳴に変わった。

 

 

適度な暴行を加えた後に縛り上げて置いておく。

 

やり過ぎた感が有るけど特に気にしない。

 

     僕が探していた君が被害者だったらね。

 

「先、輩…」

 

君の目には救ってもらった、という感情は無かった。

 

気にせず、腕を引っ張って連れて行く。

 

戻ってきた部屋のドアに鍵を閉め、

 

   ソファーに向けて君を放り投げると同時に腹に一発蹴りを入れる。

 

「あ゛うっ、…っ」

 

君の顔が苦痛に歪んだ。

 

その表情が堪らなく愛おしくて、僕は思わず微笑んだ。

 

どさっ、とソファーの上に体が落ちる。

 

僕はわざとゆっくり君に近づく。

 

「はっ…はっ…っう」

 

笑みを殺して、冷めた目で君を見下ろした。

 

掴みあげる。

 

そしてもう一発、腹部に蹴りを入れた。

 

「うう゛っ…ぁ、か、はっ…」

 

苦痛に歪む顔が見たくて、何度も暴行を繰り返した。

 

 

君が気絶したところで、手を止めた。

 

無理やり起こそうかと考えたが今回は止めておいた。

 

抱き抱える。

 

愛の表現方法なんて知らない僕は、

 

あまりにも儚くて優しい、愛しい君に、

 

「…愛してるよ」

 

…そっと一つ、キスを落とした。

 

 

『狂愛主義者』

 

眠っている君が、少し笑ったように見えた。