緋色雨の法螺話。

短編小説を時々書いてます。

息を止められた猫

綺麗だと 言われた。

 

髪も容姿も眼も仕草も雰囲気も肌も性格も全て。

 

周りにいつもたくさん人が居た。

 

皆笑ってた。

 

悪意なんて知らなかったから無いものとしてた。

 

だから 私も笑った。

 

馬鹿な私は 皆の顔が変化していくのにも気付けなかった。

 

 

何時からだっただろうか。

 

笑えなくなったのは、

 

皆が怖く見えたのは、

 

人間が信じられなくなったのは、

 

無いものに縋って頼って絶望して泣いて笑ってぐちゃぐちゃになって、

 

もう 何も解らなくなって、

 

晴れの日が嫌いになって、

 

休みの日に体調を崩すようになって、

 

…雨の日ばかりに 出かけるようになったのは。