緋色雨の法螺話。

短編小説を時々書いてます。

想い患う

   君が居るだけで満たされるのなら、君以外は要らないね。

 

そういった僕に、君は笑って言った。

 

「私だけじゃあ、きっとむなしくなる日が来るから。」

 

そんなこと無いよと笑って見せても、君は悲しい顔をして。

 

 

    あれから、1ヶ月くらい経ったころ。

 

君は急死した。

 

前から患っていた癌によって、だそうだ。

 

   私だけじゃあ、きっとむなしくなるときが来るから。

 

涙が止まらなかった。

 

 

『想い患う』

 

 

  君は優しすぎたんだ。